• ホーム
  • 高齢者は賃貸入居を断られる時代は終わる?

高齢者は賃貸入居を断られる時代は終わる?

2019年10月02日
不動産について紹介する女性

従来は高年齢になると、新たに賃貸物件に入居を申し込んでも拒否されるのが一般的でした。特に問題になるのは長年住んできた賃貸物件が、老朽化で建て替えを余儀なくされる点です。借地借家法では期間満了しても、立ち退きを請求するには、立退料の支払いと立ち退きを正当化できる事由の存在の二点が必要です。単に建て替えのために賃借人を追い出すことは法律上困難になっています。しかし賃貸物件が老朽化して建て替えが必要になった場合は話しが別です。

老朽化した建物は住人だけでなく、近隣にも危険な存在と化すので、建て替えを正当化する理由に該当することになるのです。つまり老朽化で建て替える際には立退料が支払われ、その場合は退去しなければなりません。持ち家を所有していない高齢者は新たな住まいを確保しなければならなくなる訳ですが、従来から高齢者は入居を拒否される事例が続出していました。

なぜ高齢者は入居を拒否されるのかについては、大家さんや不動産会社の立場からするといくつかの理由が想定されます。まず高齢者だけで入居すると、身体的に変調を来たす状況が懸念されます。とりわけ高齢者の単身世帯では、部屋の中で死亡してしまっても長期間気付かれないまま経過し、孤独死の状態で発見されるリスクは否定できません。そして高齢者の場合はすでに現役を引退しており、収入は公的年金頼みという方が大半です。誰もが豊富な預貯金を確保しているとは限らないので、貸す側として滞納のリスクが高いと判断する傾向があります。これらが高齢者が賃貸を申し込んだ場合、大家さんや不動産会社に拒否されることが多い理由でした。

しかし少子高齢化が進行し、人口に占める高年齢者層の割合がどんどん高くなっている傾向を踏まえれば、将来的には変化していく可能性があります。少子高齢化は地方では過疎化による地域の荒廃や人口減少などをもたらしていますが、賃貸マンションが主流の都市部においても無関係ではありません。東京都23区においても少子高齢化と世帯構成員の減少傾向は定着化していますが、若年層の流入が盛んなために問題が顕在化しにくくなっているに過ぎないからです。

少子高齢化社会は将来的にも継続することが予想されており、賃貸マンションなどの経営を成立させるには高齢者も顧客層に想定する必要がある時代が既に到来しつつあります。高齢者向けサービスつき住宅などが急増しているのも、少子高齢化のもたらした変化の一つと見ることが出来るのです。